カモから「利権」を引き摺り出せ!

――シンプルなルール、そして、ジレンマの心理戦

 

 

 「VIP」の持つ「利権」を得るためにPC達は――つまりは悪党は――「街」を舞台に動き出す。

 

 「利権」を得るのは、必ずしも易くはない。情報を集め、金を集め、準備を整える必要がある。

 だが……「利権」の数は有限だ。無い「利権」は奪え無い。VIPの持つ利権が無くなれば、ゲームは終わってしまう。準備に傾倒する余り、カモは食い散らかされていました、では後ろ指を指されて笑われる。

 しかしながら、無策に突っ込めば……手ぶらで帰るサマもまた無様だ。

 「利権」を取りに行く、それとも「利権」を取る準備をするか……チキンレースのような駆け引きを行い、他の悪党共を出し抜きながら、VIPの喉元に喰らい尽くす必要がある。

 が……。 それだけでは「裏切り者」に足を掬われる。――裏切り者は、お前の隣にいる。

 

――悪党! 「街」は悪党を歓迎する!

 

 

 無法地帯「街」に、悪党(PC)は「VIP」と呼ばれる大口のカモを喰らい尽くすべく現れた。

 

 そんな悪党は、五種類の「メインジョブ」と二十一種類の「サブジョブ」から一つずつ組み合わせ、創られる。

 

 「メインジョブ」には、「ヤクザ」「情報屋」「詐欺師」「遊び人」「博徒」の五種類があり、これが「街」での生業といえるだろう。

 

 サブジョブには、「ホステス」「探偵」「弁護士」といったものから、「ムービースター」や「ヒモ」「神父/修道女」とまでいったものまで多岐にわたる。

 

 キャラメイクは、長くとも三十分。慣れれば十五分で済んでしまうことだろう。残りは存分にフレーバーの作成に集中して欲しい。

――プレイし易い環境

 

 初心者にも遊び易く、キャラメイクが容易で、プレイルールも軽いながらも、奥深いものとなっている。 

 悪党はびこる「街」が舞台ではあるが、キャラクターシートを破り捨てるようなロストは無い。存分に悪党RPを楽しんで貰える環境を用意している。

 そしてシステムは、PvPvGM。狩り尽くすべき相手はGMであり、PvPはゲームの本質ではない。PvPに固執していれば、狩るべきGMは他のPCに出し抜かれるだろう。

 

 また、ルール理解の敷居を下げるため、プレイの様子を収録した「リプレイ」も掲載している。表紙を描いたむつみなと氏による充実した挿絵も掲載されている為、是非堪能して欲しい。

 サンプルシナリオも三本掲載している。加えて、ゲームマスター向けに、処理で気をつける点やランダムイベントも多く載せている。敬遠されがちなゲームマスターも、楽しんで欲しい。